一夜限りのはかない命…
神秘の香りを漂わせながら、凛として闇夜に浮かぶ、純白の美しい【月下美人】の花をご存知ですか?
天女がまとう薄絹の衣に似た花びらを幾重にも重ね、美しいシルエットで咲き誇る姿は、夜のひと時鳥肌が立つほど魅了されます。
月下美人はどんな花?
月下美人はメキシコからブラジルにかけての中南米熱帯雨林に自生するサボテン科クジャクサボテン属の常緑多肉植物です。
独特の形状で一夜限りの妖艶な花を咲かせます。
雌しべはたくましく妖艶
わかめのような平べったい葉から伸びる、たくましく太く長い茎が雌しべです。
そよ風に揺れて、まるで誘いかけるようになびき、不思議な形状をしています。
そして…茎から伸びて、蜘蛛の様な、星の様な姿で頭をもたげているのも雌しべです。
雄しべは繊細
花の中央から淡いクリーム色を身にまとい繊細な絹の糸の様に無数に出ているのが雄しべです。
雌しべをそっと守る様に、ガードを固めているようにも見えます。
☆*: .。.目次 .。.:*☆
月下美人の育て方
月下美人は高温、多湿を好む、中南米原産のサボテン科クジャクサボテン族です。太陽は好きですが、照り付ける強い陽ざしと霜は苦手です。
真夏は葉焼けに気を付けて半日影の場所に置き、12月には室内の日当たりの良い場所に避難させてあげましょう。
土と鉢の選び方は?
サボテン用、又は赤玉5・鹿沼土2・腐葉土3を合わせた土と、水はけのよい鉢を用意しましょう。
水やりの仕方は?
5月から9月は乾いたら鉢底から流れ出るくらいたっぷり。
11月から4月は乾いてから2~3日後に少な目に。
肥料の与え方は?
4月~9月は生育期なので茎や葉が育ちすぎないようにリンとカリが多めの肥料をたっぷりと。
10月は10日から15日おきに液体肥料を。
11月~春はなし
※リン・カリの多い物は実肥え、花肥えの効果が高く、チッソの多い物は葉ばかりが充実してしまうので注意して与えましょう。
居心地の良い環境を整えてあげましょう
- 11月下旬~4月 日当たりの良い室内
- 5月~6月 戸外のひなた
- 6月~9月 戸外の半日影
- 9月~11月戸外のひなた
【2018年 】初めて1輪開花
2015年に小さな株から育て始めて3年目、2018年9月のある日、待望の蕾が付きました♪
1週間後、茎が成長しながら緩やかにカーブし、蕾はふっくらとして来ました。
蕾が付いてから2週間、さらにふっくらと膨らみ、「今夜咲きますよ」のサイン。
暗くなり始めた18時頃、重なり合った薄い花びらを少しづつ広げ始めました。
ジャスミンのような甘く優雅な香りを漂わせながら、薄絹の衣のような花びらをゆっくりゆっくり広げます。
2時間ほどかけて誇らしげに開花した姿です。
右の写真はあかりを消して、スポットライトを当てた特殊撮影。闇夜に浮かび上がり、妖艶に見えます。
横顔もうっとりするほど美しい。
一夜限りのはかない命を精いっぱい咲いてくれているかと思うと健気で愛おしくなります。
【2019年 】4輪開花
2019年9月11日 :4つの蕾が付きました。
9月20日 16:00 :蕾が少しづつ開き始めました。
9月20日 21:00 :4つの蕾は次々と開花し、昨年の1輪を上回る見事な競演を見せてくれました。
9月21日 早朝 :一夜限りの美の競演後の姿です。
【2020年】 育て始めて5年目に9輪の花が咲きました
7月29日:初めての開花を披露してくれた2年前より、少し早く蕾が付きました。
8月4日:日に日に茎をのばし、蕾もふっくらとし、首をもたげます。
8月7日 18:00:蕾はさらにふっくらし、先端が開き始めました。今夜開花するのは1輪のみの様です。
8月7日 19:00 : ゆっくりゆっくり花びらを広げます。
8月7日 21:00 : 美しい横顔の長女が誕生しました♡
8月8日
次女から4女が開花。
8月9日
5女から9女が次々と開花し、3夜に渡り、9姉妹の美の競演を楽しませてくれました。残念ながら同時競演は見られませんでしたが、毎夜かぐわしい香りと神秘的な開花を見ることが出来て感激でした。
8月10日 早朝
美しい9姉妹の亡骸です。
2度目の開花!
2020年10月14日 : 2度目の開花
成熟してくると、1年に何度か花を見せてくれると聞いていましたが、8月に9つもの花を咲かせてくれたので、今年は無理かしら?と思っていたら、なんと、秋の訪れを感じる頃、又一つの蕾をつけ、今回は大輪の花を見せてくれました(*^-^*)
手の平よりも大きな素晴らしい美人さんです!養分を独り占め?で女王様の様な美しさでした。
【2021年】挿し木で育てた子株から開花
2021年7月25日、2018年に軽い気持ちで挿し木にした子株から2輪の花が開花しました♪
挿し木後3年ほどで花がつく、と聞いていましたが、その通り3年目に花をつけてくれました。
【2021年5月】子株のシュートを挿し木にしました
子株の時にはちゃんと育つのか半信半疑で、記録もとっていなかったので今回は孫株の成長記録を記していきます。
月下美人の挿し木は5月から9月が最適な時期です。
1.子株から伸びたシュートを、清潔なカッターナイフで30㎝程の長さにスパっと斜めにカットします。
2.切り口を日陰で1週間乾燥させ、水はけの良い赤玉土にルートン(発根促進剤)をたっぷり塗布した茎を浅めに挿します。
風通しの良い半日影に置き、1週間ほど経ったら水やりを開始します。
7月末、可愛い葉が顔を出しました。根付いた証拠ですね♪
11月中旬、朝晩冷え込む様になってきたので室内にとり込みました。3世代がそろい踏み♪
7月に顔を出した可愛い葉は大きく成長し、先端にも5枚の葉が付きました。
【2022年7月】孫株は葉が充実し、親株・子株は今年も次々と花が!
今年は梅雨明けが早く暑い日が続いた為か、次々と蕾を付け親株は6輪、子株は昨年より2輪増えて4輪、例年より早く花が咲きました。
【2023年7月】今年も沢山の蕾を付け始めました
親株は6つ、子株は1つ、孫株は3年目を迎えて葉は充実してきました今のところ蕾はついていません。
6月25日親株に可愛い蕾がつきました。(すぐお隣についていた蕾は2日後落ちてしまいました)
7月7日 今夜咲きますサインが出たので見逃さないように室内へ。
今年初!親株から1輪開花です。
かぐわしい香りと共に、ひと時の美しさに感謝。
7月15日
親株から2輪、子株から1輪開花。
7月16日
親株から2輪開花。
月下美人の花言葉
あでやかな美人・はかない恋・はかない美・ただ1度会いたくて
華やかでかぐわしい香りを放つ女性らしい雰囲気、ほんの一夜限りの短い命、はかなさとロマンチックな花言葉はまさしく月下美人にふさわしい。
川端康成も愛した『月下美人』
葉山の古風な洋館、小宮邸を舞台に繰り広げられる夏の夜の短編小説、川端康成著『月下美人』の文中より
『夢の国の花…白い幻の花のよう』
『そよ風にゆれるように開く、蓮の開くように咲く』
花を愛でながら、交錯する人間模様や感情の機微を絡め、月下美人の花がいかに美しく、心酔するかを作者はこう表現しています。
月下美人酒と食用
せっかくの美しい花を一夜限りにしてしまうのは忍びない、と思うのなら、満開の美しい時に花の付け根から取り、焼酎かホワイトリカーに漬け込むと何年も花酒として楽しむことが出来、花びらは酢の物やお浸し、スープや天ぷらにして頂けるそうです。
とはいっても・・・私はとても調理して頂く気持ちにはなれませんでした。
【2023年】月下美人の育て方と8年間の成長記録のまとめ
背丈が1メートル以上になり、温度管理・肥料・日光に気を付けないと花を咲かせることが難しい月下美人。
2015年にシュートから育て始めて早いもので8年目を迎えました。
2018年には待望の開花!初めて目の当たりにする美しさに、食事も忘れるほどくぎ付けになりました。
寒くなればやわらかな日差しがあたる室内、真夏は直射日光を避けて明るい日陰が美人さんのポジション。
毎年素晴らしい感動をいただけるのなら、お世話も苦になりません。
2020年には9姉妹の美しい競演、2021年には子株の開花も楽しめました。
今年は孫株が3年目を迎えます、果たして美しい花を咲かせてくれるのでしょうか。